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アラサー営業マンの勉強ブログ。

本当に欲しいものを手に入れるために、大切なものを手放す覚悟

とうとう、彼女が留学する日がやってきた。実感が全然ない。しばらく会えなくなるのに、不思議な感じ。彼女の新しい門出をなるべく近くで応援したかったので、見送りに行くことに。そういえば、誰かを空港まで見送りに行くこと自体、初めてだな。

 

駅で待ち合わせをして、空港まで電車で行く。軽く食事をして、チェックインを済ませる。時間がまだあったので、コーヒーを飲みながら、空港内を散歩する。空港のベンチに座って、出発の時間を待つ。お互い、まだ遠距離になる実感はない。

 

登場時間の一時間前。そろそろ手荷物検査や出国手続きをしなきゃということで、手荷物検査の入口へ進む。ここから先は、見送り客は入れない。僕は、ずっと引いてきたキャリーバックを彼女に渡した。ここで、彼女の様子が変わった。

 

海外に旅立つ実感が出てきたようで、彼女は泣き出した。寂しい、と。まぁ、そうだよね。これまでほぼ毎日会ってたのが、しばらくは会えなくなるのだから。でも、そんなに悲しむのならば、無理して行かなくてもいいんじゃないの?と浅はかな僕は一瞬思ってしまった。

 

僕に今できることは、彼女の応援をすること。震える彼女の肩を抱き寄せて、激励の言葉をかける。頷く彼女。顔を上げて目が合うと、また泣きだす。ということをしばらく繰り返す。しばらくして決心したのか、ぐいっと顔を拭き、歯を食いしばって「行ってくる」と彼女に僕は言った。彼女は僕に「後で読んでね。」と一通の手紙をバックパックから取り出して手渡すと、小さな体に不釣り合いな大きなキャリーバックと、これまた大きなバックパックを引っ張って、手荷物検査のゲートをくぐって行った。

 

もし飛行機が飛ばなかったときに備えて、しばらく空港内で待つことに。

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見送りデッキに出て、出発を待つたくさんの飛行機を眺める。初冬を思わせる寒空で、雨も降っていた。そんなに遅い時間ではなかったが、デッキには人影がまったくなかった。約1時間30分後、1時間の遅延はあったものの、無事に飛行機は飛び立っていった。何事もなく、とりあえずほっと一安心。
 
帰りの電車で、ふと彼女からもらった手紙を思い出す。その手紙を読んで、ようやく僕は、彼女が留学するんだという実感を得た。
 
手紙には「海外への長期留学は18歳からの夢だったけど、半ば諦めかけていた。けど、背中を押してくれたおかげで、一歩を踏み出すことができた。ありがとう。」という内容が書かれていた。
 
彼女は決して多くを望まないタイプだ。物欲も少ない。そのかわりに、彼女は二人で一緒に過ごす時間を特に大切にしていた。だから、今回の留学の決断は、大切な二人の時間を犠牲にしてでも、彼女がやりたかったことなのだ。まだ知らない欲しいもののために、今持っている大切なものを手放す覚悟が彼女にはあった。
 
彼女が海外留学に対してどんな想いを抱いてきたのか、そして留学を実現するために大切なものを手放す決断を彼女が自発的にしたことを、あらためて僕は認識した。そのとき初めて、僕は彼女が遠くに行ってしまったと実感した。彼女の留学を応援していたけれど、彼女と一緒にいる時間を捨てるという覚悟が僕には全くなかった。今更遅いけれど、失うものの大きさや大切さを理解したときに、離れ離れになる実感や寂しさを感じることができた。
 
うまく言葉でまとめられない。当たり前のことなのに、ぼーっとしてて気がつけなかった。相手がどれだけそれを大切にしてきたのか、相手がそれを得るためにどれだけの犠牲を覚悟しているのか、それをもっと早く感じ取れるようになりたい。
 
彼女からまた一つ学ばせてもらった。尊敬しているよ。向こうでも頑張れ!