【心ある仕事】
オフィスで仕事をしているときは、
夕飯もオフィスで済ませてしまうことが多い。
会社の側のほか弁屋さん(コンビニよりもお気に入りw)でお弁当を買い、
自分のデスクでもそもそ食べる。
この日も、いつものようにほか弁へ。
しかし、タスクが立て込んでしまい、なかなか席を立つことができなかった。
ようやく一区切りつき、一人で走って夕飯を調達しに行く。
お店についたのは閉店の21時ちょうどだった。
「こんばんはー!まだ間に合いますか?」
「ダイジョウブデスヨー」
いつものお兄さんが愛想よく答えてくれた。
よかった、間に合った!
お弁当を注文し、しばしの間。
きっと今日は僕が最後のお客さんだろう。
看板やのれんがすでにお店の一角に片付けられ、
店員の一人がレジからなが〜いレシートを打ち出していた。
ドリンクコーナーも電気が消え、カバーが下されていた。
できたてのお弁当を受け取り、お店を出ようと出口へ向かった。
「オキャクサン、マッテクダサイ」
不意に呼び止められる。
お兄さんはレジから飛び出してきて、
お店の冷蔵庫からサラダを一つ取り出し、僕に差し出した。
「サービスデス」
嬉しかった。
ものをもらったことよりも、心遣いが嬉しかった。
このほか弁屋さんには週3〜4回のペースででまだ1か月通ったばかり。
オフィス街のこのお店には、毎日たくさんのお客さんが来るだろう。
それにも関わらず、僕の顔を覚えてくれていた?
元気なお兄さんに連れられて、毎日挨拶しかしていないのに。
なんにせよ、じわじわ嬉しくなった。
高橋歩さんの本の一節を思い出す。
【心ある仕事】
心ないボランティアよりも、心あるバーテンダーのほうが、
世の中の役に立っていることが多い。
心ない政治家よりも、心ある掃除のおばちゃんのほうが、
世の中の役に立っていることが多い。
「心ある仕事」をしている人は、みんな世の中の役に立っているんだ。
世界中の路地を歩きながら、たまにそんなことを考える。
お兄さんは、こんな異国の地でも、
毎日毎日心ある仕事をし続けているのだろう。
すごいな〜。その姿勢、見習わなければ。
仕事に、心を。