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【書評】レイヤー化する世界

レイヤー化する世界

レイヤー化する世界

佐々木俊尚さんの新書。「おはようございます。」から始まる佐々木さんのtwitterニュースを毎日追いかけていたので、本書もずっと読みたいと思っていた。本屋で平積みされているのを見かけたので、真っ先に手に取った。


想像していた以上に深く、考えさせられる本。手元において何度も読み直したい本。僕は86世代だけど、同世代、またはそれ以降に生まれた人たちに特にお勧めしたい本。


Amazonなどの書評を読んでいるとネガティブなものが目に付く。しかし、「佐々木さんの言いたいことは本当にそこ!?」というような部分ばかりに言及していて、正直僕はそれらのネガティブな書評に全く同意できなかった。もしかしたらこの本は、読み手を選ぶ傾向があるのかもしれない。


「場」と「レイヤー」という例えを使って、世界の現状とここ数十年の変化を見事に文章で表現している。この表現を肌で理解できる人にとっては、本書はとても面白いだろう。でも、肌で理解できる人は今の30歳ぐらいまでの人かもしれない。いわゆる、ソーシャルメディアや海外事情に対して明るい人は、本書の内容がすとんと腹に落ちてくるのではないかなと思う。


特に印象に残った点は以下。
・ロボットが普及すれば人間は知的労働をする、はうそ。
・場の時代を生き抜く戦略。一つは、レイヤーを重ねたプリズムの光の帯として自分を捉えること。もう一つは、場と共犯しながら生きていくということ。
・レイヤーでつながろう。場と共犯し、場を利用し、場に利用されよう。そして、場の上を流れていこう。そして大地の上を、動き続けよう。


前職の職場で、単純作業はどんどんシステム化が進んでいったけど、人間は決して楽にはならなかった。むしろ、それまで以上に大変になっていった。知的労働と言うと聞こえはいいが、具体的なイメージを持てる人は少ない。手を動かせる人はどうしても限られてしまう。単純作業のシステム化の流れは変わらないが、それに対して人間が対応できるかどうかは、別の問題だと私も感じた。


そして、特に最後の文章「レイヤーで〜」には涙が出そうだった。場の一つであるソーシャルメディアに利用されることを恐れて、私はソーシャルメディアと一定の距離をおくようにしていた。けれど、この共犯という考え方はとても新鮮で衝撃だった。「場」は善も悪もなく、そういうものなんだ、としてまるっと受け入れる。全てを受け入れたうえで、「場」の持つ強力な力を最大限に使ってサバイバルする。この関係はまさに「共犯」という関係がふさわしい。じわじわきて、最後にどとーっと感動した。


本書は全ての人に読んでもらいたい。けれど、「場」の感覚を受け入れられるかどうかの課題があるので、30代くらいまでの人にまずは全力でお勧めしたい。


レイヤー化する世界

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