【歓喜と興奮のカンプ・ノウ×サグラダ】
2/8(日)
翌朝。しっかり休めたこともあり、早めの時間に宿をチェックアウト。
フランサ駅にて電話を拝借。今日の宿を確保せねば。
駅員のおじさんとお兄さんにまたお世話になる。
ああ、なんて優しいんだろう。本当にスペインは治安が悪いのだろうか。
朝一でガイドに載っていた日本人のペンションに電話をかける。
カタコト英語で語りかける。しかし、僕の名前を聞くとすぐ、
「日本語大丈夫ですよー。」と女将さんの声。
ほっと胸を撫で下ろす。
あらためての自己紹介。心なしか、声が弾むのを感じる。
言葉の違いによる、無意識のプレッシャー。かな。
ちょうど今朝、空きが出たらしい。すぐに予約を入れる。
よし!思わず小さくがっつポーズ。
朝早めの行動は、その日1日の質を高めてくれる。
何事においても、スタートは重要だ。
この日、これを機にすべてが好転する。それも、かなり強烈に。
宿に到着。
ペンション・チキート。ご夫婦で経営されてる、家庭的かつアジアンなペンション。
部屋は広く、キッチンやリビングも充実。
3人部屋で一泊25ユーロ。うん。いい感じ。
しどーさん、藤田さん、福田さん(福田さんはまだ布団で夢の中)と出会う。
しどーさんはスペインの大学で留学中、藤田さんは全3ヶ月の旅の途中で沈没中。
お昼時だったので、一緒に自炊ランチをすることに。
しどーさんは料理ができるらしい。素晴らしい!!
鞄からは各種調味料、お米、みそ汁…etc。なんでも出てくる。
パズーの鞄の上をいく。
近所のスーパーで足りない食材を調達。有り合わせ+αで
「パンコントマト」※フランスパンをトーストし、ニンニクとトマトを擦り込んだもの。
「具沢山のホワイトシチュー」が完成!!!
おいしい!!!!
久々にまともなご飯を食べた。カロリーメイトをたくさん用意していたので、それで済ませようと
楽をしてしまっていた。そのせいか、どこか元気がでなかった。
やはり、食は大事だ。栄養面で、まず大事。味の面でもさらに大事。おいしいものが嫌いな人はいないのだから。
そして何より、食による「変化」が人間のメンタル面に与える影響は思っていたよりはるかに大きかった。
学びも得た。お腹も心も満たされた。ごちそうさま!!
しどーさん、ありがとうございます!
食事中、サッカーのお誘いを受ける。
今夜、カンプ・ノウというところで、サッカーの試合があるらしい。
「バルサvsスポルティングヒホ」
サッカーを生で見たことがなく、いい機会だったので即YES。
みなさんはすでにチケットを持っていたので、
後からチキートに来た松永さんをさらに誘い、
当日チケット組みで一緒に行くことに。
おお、楽しみだ♪
試合は夜だったので、それまでランブラス通りを散歩することに。
この通りはとにかく活気がすごい!!
通りのいたるところで、「欽ちゃんの仮装大賞」が繰り広げられている。
質も高く、彼らはこれ一本で生計を立てているらしい。
熱の入りようが、違う。本気。
だからか、観光客の数も、多い。
大道芸人、いかさまギャンブラー、警察に追われる東南アジア人など、
いろんな人が混じる。混じる。
写真で表現できないのが、本当に残念…。
そんな通りを進んでいくと、開けた場所に出た。
そこでは、老若男女が入り混じって、サルサパーティをしていた。
ある若いカップルは激しくアグレッシブに、
ある老夫婦はしっとりとロマンティックに、
またある組は周りが見えないくらい情熱的に
サルサを舞う。
みんな実に楽しそうだった。
踊っている人だけでなく、それを見つめる周りの観客を含めて。
ヨーロッパの人たちは、休日の使いかたを知っているようだった。
仕事なんて、ナンセンス。お店は全部クローズド。
昼間っからお酒を飲んだり、のんびり昼寝したり、サルサを踊ったり。
メリハリのパンチが効きまくり。
日本人の仕事量と労働時間に対する美学もステキだと思う。
毎日毎日、汗水流して働いてくださっている、世のお父様。
今の日本が成り立っているのはあなた方のおかげです。ありがとうございます。
ぜひそんなお父様方にも、この光景を見せてあげたい。
「余暇の美学」
時間にしたときの仕事:余暇の比率は8:2ぐらいだろう。
でも、案外その人の人格を構成するのは、2のほうだったりする。
ほら、なんとかの法則であったように。
人は、パンのみに生きるにあらず。
夜。
当日チケットがない組は、ちょっと早めに宿を出る。
カンプ・ノウまでは地下鉄を乗り継いで20分ほど。
いそいそ。いそいそ。
スタジアム周辺のバールは、すでにファンで盛り上がっていた。
いたるところで、ワインで前祝い。実に楽しそうだ。
地下鉄の駅から続く人の流れに乗って、スタジアムに到着。
チケット売り場を探してスタジアムを半周。すると、行列を発見。
ビックカードではないせいもあり、意外と簡単にチケットが手に入った。
三段目のコーナーの席をゲット!値段は26ユーロ。
当日券は、値段が安くよい席から埋まっていくらしい。
僕のは2番目に安いもの。
チケットを確保して一安心。
次はサポーターグッズを探しに回る。
「大きなタオルを買ってぶんぶん振り回そう!」案が気に入った僕らは、
出店を回りながらスタジアムの入り口へ向かう。
しかし、季節柄のせいか、マフラーしかおいてないや。
スタジアムへ入場して中を探すも、中には出店が一つもない。
しかも、再入場はできないとか。
がーん。サポーターグッズはあきらめる。
代わりに、大きなホットドックを買ってはんぶんこにすることに。
巨大な焼きたてパリパリソーセージ。
カタルーニャ産の羊の腸のソーセージを使っているとか。
本当かどうかは別として、うまい!!
産地には、敵わないなぁ…。
スタジアム内はかなり冷え込んでいたので、
温かい飲み物を買おうとする。
しかし、「カフェ・ラテ」が通じない。
おかしいなぁ。メニューに似たようなスペルが書いてあるのに…
そばにいた日本人のお兄さんを捕まえて聞いてみる。
どうやら「カフェコン・レーチェ」というらしい。
けっこう似てる!店員さんに察して欲しかったなぁ。
19時ちょい過ぎ。音楽に合わせて選手入場!
僕らも鼻歌で便乗する。
そしてキックオフ!
おおお。このゾクゾク感は、すごい。
足の裏から伝わって、頭のてっぺんから突き抜ける。
ブーイング一つとっても、スタジアム全体が、揺れる。
バルサがゴールでもしようものなら、会場が割れる。
約8万人が一斉にスタンディングオベーション。
これは、この一体感は筆舌に尽くしがたいものがある。
ここバルセロナでは、サッカーは住民の生活の一部となっている。
イタリアなどではやんちゃなフーリガンが多い中、
バルセロナは家族連れ、おじいちゃん・おばあちゃん、一人観戦など多岐に渡る。
僕の隣に座っていた若い綺麗な女性は、一人で見に来ているようだった。
「ちょっとスーパーへ」的な感覚で、サッカーを楽しむ。
この国の、サッカーの浸透度は半端ない。
何かが人々の間に普及するということは、こういうことかな。
背番号9のエトーの2点のシュートもよかったが、やはり、メッシがすごい。
メッシの電光石火のスピードプレー。鳥肌ものだ。
メッシがボールを持つと、観客の全視線が集まり、ザワザワのトーンが一気に下がる。
それだけ、メッシはサポーター、そしてバルセロナから愛されている証拠なのだろう。
メッシは幼少の頃、とても貧しかったが、サッカーが抜群にうまかった。
しかし、先天性の要因により、あまりにも背が低かった。
治療のためには高額な成長ホルモンを投与しなければならなかった。
ところが、彼の家庭にはそんなゆとりはなかったのである。
そこで、メッシのサッカーのカリスマ性に目を留め、手を差し伸べたのがバルサだった。
バルサは、「治療費・学費・養育費をすべて負担する代わりに、うちのクラブへ来い」
とメッシをスカウトする。
バルサ入りを果たしたメッシはめきめきと頭角を現し、18歳には公式戦にも出場する。
メッシがこのようなバックグラウンドを持っていることも、
愛される要因なのかもしれない。
しかし、メッシは今をときめくスター選手。
この日の試合も、守備に関してはあまり動かなかった。
チームから、そしてサポーターからもそれが当たり前のように見られていた。
変わりに、FWの3番手の選手が攻守にわたって一生懸命、走る。走る。
彼は、おそらく知っているのだろう。
次にスター選手が入ってきたときに、真っ先に切られるのは自分だということを。
しかし、メッシもスピードで勝負するタイプの選手である。
人間の体の性質上、おそらく彼もまた、
多くのスポーツ選手と同じ道をたどることになる。
自然の掟とはいえ、厳しいものがあるなぁ…
この試合は、3:1でバルサが快勝し、幕を閉じる。
興奮冷めやまぬファンたちが、ほくほくしながら家路につく。
いったん宿に引き上げ、全員がそろうのを待つ。
というのも、シドーさんの提案により、
「どうせなら、みんなで飲みにいかね?」企画が控えていたからだ。
シドーさんご用達の、スペインバー。
そこからは、夜の空にライトアップされたサグラダ・ファミリアを見ることができた。
う〜〜〜〜〜ん、絶景!!
バーでは注文毎にお金を支払う交換性。
お酒がわからず、カウンターに座っていたお兄さんのボトルを指差し、
おなじものをオーダーする。
するとお兄さんが、
「ベストチョイス!!!」
と言って親指を立てる。
爆笑しながら、僕らも指を立てる。
「サルーーーーーーーーーン!!」
(たしか、スペイン語で乾杯!たしか。)
サグラダの夜景をつまみに飲む酒は、最高においしい。
ここで盛り上がったトークは、僕の初日のゲイネタだった。
開放感とお酒の力で、アクセル全開!
なぜか、えらく盛り上がる。
共通ネタとして使える!と手ごたえをえる笑
そんなこんなで、結局終電までヒートアップ。
土地柄のせいか、サッカーのせいか、サグラダのせいか。
心がふわふわする。楽しい。
偶然とは、ここまで発展するものなのか。
今日のよき出来事は、いろいろな要因が複雑に絡み合い、
結びついたひとつの結果である。
これを、意図的に起こすことは難しいだろう。
なので、せめてみんなに感謝したい。
そして、次につなげられるように、ここに記録に残す。
みんなと、今日という日に感謝。
スペインの夜は、優しく更けていく。