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YMD BLOG

某グルメサイトの営業マンの勉強ブログ。

【イケメンパッカーティトンとバルセロナ】

欧州の夜行列車は思っていたよりも横揺れが激しい。
それだけスピードが出ているということだろうか。
車内の空気はカラカラに乾燥しており、水分は必須。
旅慣れている人は、マスクをして眠っていた。

夜も更け、車内が寝静まる。

突然、列車の扉が荒々しく開けられ、4人のごっついお兄さんがドカドカ入ってきた。
背中には「POLICE」とでかでかした文字。

あ、やな予感。


2/7(土)深夜〜
旅行3日目。
バルセロナ


何事かと彼らを見ていると、車内の一番端の席の僕のところまでやってきた。
荷棚に載せてある僕の荷物を指して、
「これはお前のかばんか?」
と話しかけてきた。
「YES」
と応える僕。
すると彼らは一瞬僕の荷物を睨みつけると、一つ前の席へ移っていった。

乗客一人ずつに同じことを繰り返す。
僕の一つ前の席の黒人二人組にも同様に話しかけていた。
が、彼らには荷物を下ろして中を見せるように命令した。

最初はおとなしく応じていたように見えたが、徐々に反抗するようになる。
荷物を取ろうと黒人が手を挙げようとすると、
「腕がつった!」
「重すぎて下ろせない」
といって、荷物を取ろうとしない。

警官もヒートアップ。ついに痺れを切らし、
「どけ、俺が取る!」
黒人二人を追いやり、大きな鞄に手をかけた。

ここまで来て、ようやく僕は状況が分かってきた。
麻薬や危険物などの取り締まりだ。
飛行機と違って、列車で国境を超えるときは厳格な荷物検査がない。
だからこうして、麻薬犬にもにた鋭い目と嗅覚を持つ警官がチェックをしているのだ。

警官は鞄を開け、ギラギラした目つきで中をあさる。
小さなポケットも一つ一つ開けていく。

僕は、何かが出てくるのではないかとドキドキハラハラしていた。
黒人二人もさぞ心配しているだろうと目をやると、
彼らはいたって平常で、ニヤニヤ笑ってさえいた。

わざとか。
おそらく、彼らが取り調べを受けるのはこれが初めてではないのだろう。
僕や他の人は荷物を外から見ただけで素通りし、
彼らだけの荷物を激しくチェックする。
それをよく思っていない彼らが、ちょっと悪戯をしたようだ。

疑われてしまうのは、やはり、黒人だからだろうか。
このミラノ〜バルセロナ間の犯罪の統計はわからないが、
何らかの関係があるために、彼らを重点的に調べているのは間違いないだろう。
偏見や差別が混じっていないことを願うばかりだ。

結局、彼らの荷物からは何も出てこなかったようだ。
警官たちは不満そうな顔をしながら、再び乗客と荷物の確認をしながら進んでいく。
何事もなかったので、ちょっと安心した。

「心配するな。いつものこと。」
通路を挟んで座っていた、僕と同じくらいの年齢のバックパッカーが話しかけてきた。
どうやら、僕の心境は彼には手に取るように分かっていたらしい。

「よくある風景だ。害はない。そんなことより、水を少しくれないか?」
彼にとっては、この光景は日常であり、
そんなことよりむしろ、車内の乾燥の方が彼には深刻な問題だったようだ。

ちょうど列車に乗る前に、僕は2リットルの大きな水を買い込んでいたので、
それを空いたペットボトルに移し、彼にあげた。
彼は喜んで水を受け取ると、一気に半分ほど飲み続ける。
よほど喉が乾いていたのだろう。

彼の名はティトン。
イケメン。いやらしいかっこよさではなく、ダンディなかっこよさ。
いいなぁ。オーラが違うよ。オーラが。
出身は…やべ、忘れた。
のんびり世界中を旅しているらしい。
スペインを回ったあとはブラジルに向かうと言う。
彼は合気道を1年ほど日本でやっていたらしく、突然
「ありがとうございます」
と言われたときにはとてもびっくりした。


テ「バルセロナにはどれくらいいるんだ?」

僕「1泊の予定だよ。」

テ「バルセロナにたった1泊?それはあり得ない!最低でも2泊はした方がいい。」
 「バルセロナの地図は持ってるかい?ちょっと貸して!」

と言って地図に赤丸を付け出した。ティトンおすすめポイントらしい。

テ「バルセロナは自然と建築の素晴らしい町だよ。」

僕「マドリッドとどっちがいい?」

テ「マドリッドもいいが、そこまで見所はないよ。バルセロナをおすすめする。」

ティトンの話を聞き、当初はバルセロナマドリッドに1泊ずつするつもりだったが、
マドリッドをカットし、バルセロナにつぎ込むことにする。


この選択が大きかった。バルセロナの二日目は、
生涯忘れられないだろう感動を味わうことになる。


夜が明ける。
プランを練り直し、わくわくしていた僕は結局あまり眠らなかった。
ティトンは爆睡し、起きると車内のわずかなスペースで太極拳
(のようなもの?)をはじめた。
健康のため、とティトンは言うが、なんとなくそれだけではないだろうなと感じる。
ああ、彼のオーラとかっこよさは、こういった所から出ているのかな。
と勝手になっとく。

バルセロナフランサ駅。
列車が到着し、表にでる。ミラノもそうだったように、
ヨーロッパの鉄道の駅は素晴らしい。
ティトンが僕の乗るべき電車を駅員さんに聞いてくれた。
おお、なんと優しい。

別れ際、夜行列車で折った折り鶴をプレゼントする。
ティトンは笑顔で受け取り、
「こいつは俺と一緒にブラジルを旅することになるな。」
日本からすれば地球の裏側だ。スケールの大きな話に、くらくらする。
素敵な出会いをありがとう。Good luck!!

さて、とりあえずバルセロナの中心であるサンツ駅へ向かい、宿を確保することに。
お互い英語が苦手で、苦戦する。
駅のインフォメーションで交渉するも、意外と混んでるとのこと。
やむを得ず、ちょっと奮発してシングルのホテルを予約。

ホテルに荷物をおき、観光へ。
初日はティトンに勧められた、スペイン村とモンジュイックの丘へ。

スペイン村は、山の中に突然等身大の村が現れ、びっくり。
日本のスペイン村は完全にエンターテイメント化していたので、
本場とはまた別物なんだね。
80年前の万博のときに作られ、バルセロナにいながら、
国内のいろいろな建物を楽しむことができる。

お土産屋さんも充実しており、各地の名産物がおいてある。
さらに、スペイン村オリジナルのお土産もたくさん扱っており、
見ているだけでも楽しい。
ガラス職人が汗を流しながら釜でガラスと格闘していたり、
おばあさんが刺繍をしていたり、
バル(バー)やレストランでのんびりしている人もいたり。
国内にこういったものを作るということは、完全に観光客を意識してのものなのだろうか。
ヨーロッパ、特にスペインは建築が有名だからかな〜。

他にもいろいろ行ってみたかったが、予想以上に体が疲れていた。
今日は夕方で切り上げ、明日に備えて計画を練り、体を休めることに。

しかし、予定もたいして考える前に、眠ってしまった。
布団に横たわり、ちょっと考え事をしていたら、
落ちるようにぐいぐい引き込まれた。

続く。