読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

YMD BLOG

某グルメサイトの営業マン、やまだかずきの勉強ブログ。

【ゲイに誘われる】

2月5日木曜日(日本時間)
旅行一日目。

朝起きてブログを見ると、前夜に書いた出発エントリーにコメントが。
嬉しい。
最近は更新頻度がかなり少なくなってしまったが、
読んでくれている人もいるんだ。
頑張って更新して、期待に応えたい。

フライトは13:05成田発。
チェックインはその2時間前なので、朝はちょっとゆっくり。

身支度を済ませ、出発の前にやっておきたいことがあった。
いつものスタバで、いつもの時間を過ごすこと。
いつもどおり、日替わりのコーヒーをオーダー。
顔なじみのお姉さんとのなにげない会話が心地よい。
「どこに行かれるんですか?」
「いってらっしゃいませ!」
スイッチON。

成田空港は思ったよりも空いていた。
まだ2月上旬ということもあるからだろう。

両替で失敗。
成田に着いてすぐに大きな両替所を発見。
ここがメインの両替所かと思い込み、最初の両替をしてしまう。
しかし、奥に進んでみるとほかにも何カ所も両替所がある。
しかもレートはこちらのほうがいい。がーん。
降りてすぐ〜など便利な両替所ほどレートが悪かったり、手数料が高いらしい。
これは覚えておこう。

チェックインカウンターにて、Eチケットを交換する。
窓側を希望するも、すでにいっぱいらしい。
感動したのは、ここから。
なんと、無料でワンランクアップしてくれて、窓側の席を確保してくれた!
おおお。なんと優しいのだろう。
サービス業によくある「NOと言わない精神」は知っていたが、
これほどまでとは…。
パイロットやCAのかっこよさは、
彼女たちのような地上職のプロフェッショナルサービスに
裏付けられているのかもしれない。

飛行機に張り切って乗り込む。
おお、座席がゆったりしてる!足下も広い!
周りの人は英字新聞を広げている。
自分もなんとなく試してもみるも、一面途中で断念。
日経新聞をもらい、おとなしく読む。

落とした荷物の拾ってあげたことがきっかけとなり、お隣さんと仲良くなる。
彼の名前はピオ。27歳のブラジル人。
日本の某大手メーカー勤務。メカニック兼通訳。
「みんな忙しそうだけど、僕だけバカンスさ!」
やるね〜!!

祖父:日本人
祖母:イタリア人(祖父母は現在イタリア在住)
両親のどっちか:ブラジル人。(両親は現在ブラジル在住)
妹(もしくは姉):ホテルのシェフ(現在はロンドン在住)
弟(もしくは兄):歌手(現在はロンドン在住)
インターナショナルな家族で、ピオ本人も、
習熟度に違いはあれ、5カ国語を使えるという。
(スペイン語、イタリア語、英語、日本語、ポルトガル語

僕はからは片言の英語で話しかけ、
ピオは片言の日本語で返してくるという奇妙な会話(笑)

かばんの中には家族へのお土産がたくさん詰まっていた。
アジアンキティちゃんが2体。(妹と母へのお土産)
ユニクロの着物が2着。(父へのお土産)
ほかにも、いかにも外国の方が喜びそうなお土産がたくさん詰まっていた。
それらを惜しげもなく僕に見せてくれた。
よっぽど家族が好きなんだろうな。いい息子やね。

ピオは日本がとても大好きだという。
ただ、このあたりからちょっとずつ違和感を感じ始める。
僕「日本のどこが好き?」
ピ「新宿さ!よく行くんだよ!」
僕「新宿?新宿のどこに行くの?」
ピ「2丁目さ!(にやり)」
ここまでくるとほぼ確信。

しかし、文化の違いか、はたまた彼の人柄か、
彼は隠すことなく僕に打ち明けてくれた。
ピ「僕はゲイだ」
軽く、カルチャーショック。
聞いていた話だと、同性愛者の間では暗黙のサインがあって、
それを合図にお互いが相手を探すものだと思っていた。
例えば、どこかのプールの真ん中で待っているとか、
もみあげを残しておくとか…。

でも実際は大きく違った。
飛行機の隣の席が同性愛者というぐらい、身近な存在なのだ。
それを知ったときにも、不思議なほど嫌悪感はなく、
むしろたくさんの話を聞きたかった。

…しかし、NOと言うべきところははっきりさせねば…。
ピ「よかったら、僕の恋人にならない?わかる?likeじゃなくて、loveだよ?」
僕「申し訳ないけど、僕はゲイじゃないんだ。でも君にもゲイにも興味はある。」
数ヶ月前、れーこちゃんが「リビングライブラリー」という企画を立ち上げていた。

リビングライブラリーとは、偏見を受けている人の語りを直接聞くことで、
社会的に困難を抱えた人を「Living Book(語りべ)」として
貸し出すことを行っている。
れーこちゃんの企画は、同性愛者たちを日本の高校生と会わせることによって、
人の多様性について考えるきっかけを作ろうというものだった。
ああ、もっとれーこちゃんの話をちゃんと聞いておけばよかった!
これをなんとかピオに説明し、わかってもらいたかった。

というのも、僕が最初にきっぱりNOと言ったときに、
ピオがものすごく申し訳なさそうな態度を取っていたからだ。
「そうか、本当にごめんな。素敵な旅が始まるのに、気を悪くして済まなかった。」
彼は日本での暮らしがそこそこ長いということもあり、
日本では同性愛者の肩身が狭いことを痛いほど理解していたのかもしれない。

確かに日本では風当たりが強く、暮らしにくいかもしれない。
でも、一部では、僕の友人のようにそういうことに疑問を感じ、
自分なりに取り組んでいる仲間もいる。
僕も、理解したいと思っている。
というようなことを日本語と英語で(ここまでくると、英語だけでは無理…)
なんとか説明しようと試みる。

彼の(もしくは外国の方一般にそうなのかもしれないが)いいところは、
日本ではタブーとされていることを、底抜けに明るく、ジョークのような感覚で
語りかけてくることだ。僕が説明すると、むしろ彼は喜んでくれたほどだ。

彼とはいろんな話をした。
サッカーの話。
彼はサッカーが大大大好きで、カカにも2回も会ったことがあるらしい。
音楽の話。
日本の音楽も大好き。ジェロにも負けないくらい日本の歌がうまかった。
演歌じゃなかったけど。
いろんな国の話。
たくさんの国を回ったけど、彼は将来は絶対ブラジルで暮らしたいという。
恋人の話。
彼氏の写真を見せてくれた。ちなみに、日本にも彼氏が何人かいるらしい。
そして、機内食やドリンクが出るたんびに二人で乾杯をした。

たくさん話をしてくれるけど、僕からはなかなか話ができずにいた。
自分の視野の狭さを痛感。
そして、ピオの感性の豊かさにびっくりした。
自分がいいと思ったものは国をまたぎ、いろんなことを知っている。
分野によっては、僕よりも日本について詳しいこともあった。

そんな彼に、尊敬と感謝の気持ちを形にしたいと思った。

機内に持ちこんだショルダーバックから、一枚の折り紙を取り出した。
何か日本の文化を持って行きたいと思っていたところを、
100均で見つけて衝動買いしたものだ。

機内のテーブルを取り出し、定番の折り鶴を作る。
ピオの視線を手元に感じる。
久しぶりの、折り紙の感触。
しばらくして、つたない折り鶴が出来上がった。

折り鶴を手に取り、ピオに説明する。
「これは折り紙という日本の伝統的な紙の遊びだよ。
これは鶴と言って、日本の鳥を表しているんだ。
日本人はたまに、この鶴にお願いごとをする。
例えばクラスメートが病気で入院してしまったとき、
クラスみんなで友人が早く元気になるように祈って
鶴を千羽も作って、彼にプレゼントするんだよ。
そして、これは僕から君へのプレゼント。
君が幸せになれますように。」

すると、ピオはとても嬉しそうに折り鶴を眺め、
帰ったら家に飾るよ!と言って大事そうに鶴を財布にしまった。

ピオは僕をブラジルに誘ってくれた。
「ブラジルはすばらしいよ!青い空、青い海、真っ白な砂浜、
そしてきれいなお姉さんがいっぱいさ!ジュルジュル♪(よだれをふく仕草)
両親の家が、ビーチに近いサンパウロにある。2月は夏のカーニバルもある。
3つの祭りがリオに一度に集まり、最も盛り上がるんだ。
うちにくればホテルもいらないから、ぜひおいで!」

嬉しい!純粋に嬉しかった!
が、若干の身の危険を感じたので、友人を誘って身代わりになってもらうか、
結婚して奥さんと行けば安心かな。と思ったり。
とりあえず、その場で僕は、
「ぜひ行きたい!でもそのときには、もっとたくさんのお金と、
きれいなガールフレンドを連れて行くから楽しみにしててね!」
と柄にもなく大きく出てしまった。

そんなこんなで話は盛り上がり、飛行機はあっという間にロンドンに到着。
お互いの連絡先を交換して、握手、写真を取って分かれた。
ピオ、本当にありがとう!!


さて、ローマはここからさらに飛行機を乗り継いで3時間。
しかし、ここで、飛行機が遅れてしまい、ローマに無事に着いたのは、
夜中の0時を回っていた。
空港から駅への終電に飛び乗り、宿を探しに町へ出る。

初日だけでも予約しておいてよかった…。
時差もある中で、深夜に宿を調達するところから始めるのはものすごく辛い。

でかいリュックを背負って、地図を片手に町を歩く。
途中、変な人に何回も声をかけられるが、全部無視。
もはや、さっきまでの余裕はない。

後ろから誰かがついてくる気がする。
振り返ると、大がらな男が鍵をジャラジャラさせ、口笛を吹きながら歩いてくる。
自分の存在をあえてアピールしているようだった。
気のせいかと思って、また歩き出すが、ずっとついてくる。
怪しいと思い、通りの反対側に渡って様子を見る。
すると、相手も渡ってついてきた!!!!!!!!!

ひいいいぃいいいいぃぃい。
勘弁してくれ〜〜。
急いで宿を探す。
後ろとの距離は詰まってきているらしく、
鍵を振り回す音が近くなってきている。

変な汗が背中をつたう。
と、予約したホテルを発見!!
なんとか扉に飛び込み、急いで閉める。
ふ〜〜〜〜っと一段落。

ホテルと言っても若者向けの安宿で、ユースホステルという。
部屋には2段ベッドが3つ入った6人部屋だった。
(なぜか朝起きると一人増えて7人部屋になっている。)

僕の居場所は2段ベッドの上。
友人からユースホステルで荷物を盗まれることも多い。と聞いていた。
上着や鞄、靴までベッドに持ち込んだが、
どうしても大きな荷物は下に置きっぱなししなければならない。
そこで、自転車のチェーンキーを鞄といすにくくりつけ、
目立たないようにタオルをかぶせておいた。
それでも夜中は不安で、3時間おきくらいに目を覚ましては荷物を確認するのだった。

結局その日は、旅の疲れもあってそのまま寝てしまった。
旅への期待はあったが、不安がめきめきと大きくなっているのを感じた。
しかし、それでも今日のピオとの出会いが心の支えとなるだろうなと、
自分で自分をほんの少し勇気づけた。

スタートダッシュは苦手だが、
僕にとっては上出来すぎる今日のスタートに、
むしろ恐怖さえ感じた一日であった。