YMD BLOG

アラサー営業マンの勉強ブログ。

【抑止力】

会社からの帰り道。
家のそばの横断歩道での、ささいな出来事。

この道路は片道3車線もある太い通りにもかかわらず、
日中でもほとんど車が通らない。

なので、自分のタイミングで信号を渡っていく人がほとんど。
きっと信号が紫色に見えたに違いない。
僕も…見えるときがある笑。

夜23時。
いつものように通りに差し掛かる。
車の通りは、やはりない。
ふと通りの反対側に目をやった。

お父さんとお母さんと5歳くらいの女の子が、
女の子を真ん中にして手をつないて、
信号が変わるのを待っていた。

反射的に、僕も足を留めた。
良心が痛んだとかそういう類のものではなく、
本能的にといったほうが近いかもしれない。

夜の空気は澄んでいて、ぱきっと寒い。
それは、向かい側の親子の会話を
こちら側にまで届けてくれるほどだった。

「信号、まだ〜?」
「ま〜だだよ。」
女の子が両親に尋ねる。
あの子にとって、車が来る・来ないは関係ないのだ。
信号が赤だから止まる。ただ、それだけのこと。
僕の良心がちくちくした。

この通りにはマンションが多いこともあり、
この時間でも人通りはそこそこある。
当然、この信号を渡ろうとする人も。

面白いことに、このときだけは、みんなが信号に足を止めた。
足早に歩いてきたビジネスマンも
大音量で音楽を聴いているお兄さんも
99円ショップの袋を自転車のカゴに入れたおばさんも。

もちろん、みんなが待っているから自分も待つという
雰囲気で足を留めた人も多いだろう。

でもこの家族の持つ「抑止力」は効果抜群だった。
きっと、誰もが持つ、心の綺麗な部分に働きかけたからだろう。

信号の赤色よりも、
家族の暖かい姿のほうが
心への訴求力は遥かに強いのかもしれない。