【父からの電話】
22時半。
携帯が震える。
まだ仕事中だった。
ちらっと相手をみると、父だった。
父は携帯が嫌いということもあり、
父から電話がかかってきたのは初めてだった。
何事かと思い、場所を変えて電話に出る。
「おお、久しぶり、あれ、ありがとうな。」
誕生日プレゼントのお礼だ。
つい最近、父の誕生日だったので、プレゼントを実家に送っていた。
珍しくは父は上機嫌で、僕の身を気遣ってくれていた。
大したものは贈れなかったけど、
それでも、喜んでもらえたようだ。
その後、母からのメール。
プレゼントに同封したクリスマスカードと、
フェルト地のトナカイさんの飾り物が、母のど真ん中だったらしい。
さすが、親子。
刺さるポイントは似ているんだね。
年末に実家に帰るのが楽しみになってきた。
実家とは距離ができてしまったと思っていた。
しかし、それはいつかの心の距離とはまったくの別物であった。