【事業分離】
今日は前期最後のゼミ。
しばらくみんなとも会えなくなるのかと思うと、ちょっと寂しい。
今日のゼミでは、「事業分離会計」について学んだ。
事業とは、企業活動を行うために組織化され、有機的一体として
機能する経済的資源をいう。「事業分離」とは、そのような事業
を他の企業に移転することをいい、会社分割や事業譲渡、現物出
資等の形式をとり、事業を移転する「分離元企業」が、その事業
を受け入れる「分離先企業」に移転したいかを受け取る。
この事業分離会計の代表的な論点は、移転損益を認識するか否か
という点である。一般的に、企業と外部者が取引をしたときに会
計処理を行い、損益を認識する。しかし、事業分離や企業結合に
おいては企業そのものが取引対象となることもあり、一般的な取
引のように、企業独自では判断が難しくなる。そこで、総体とし
ての株主の立場から判断をせざるをえない場合がある。具体的に
は、持分が継続しているとみなされる場合には投資が継続されて
いると考え、移転損益は認識しない。逆に、持分が断たれた場合
には、いったん投資を清算し移転損益を認識する。そしてあらた
めて資産や負債に対して投資を行ったとみなす会計処理を行う。
この事業分離は、実務上ではかなり行われているらしい。その理
由の一つはやはり、企業の不採算事業を切り離し、経営成績をよ
くするためだろう。でも、親会社から子会社へ不採算事業を売却
する場合、子会社は拒否できないだろうから、子会社にしわよせ
がいくのは問題だ。
さらに、一つの事業をまるまる移転する場合、当然、そこに携わ
る人間も移動することになる。人的資源や、ブランド、ノウハウ
など、数値化しにくい部分も多々あるが、事業分離の目的がこち
らにある場合もあるだろう。
組織再編でめんどくさい(難しい)のは、ここだと思う。事業が
移転するにともなって、人間やそこで生まれた文化までもが移転
すること。もちろんプラスになることも多いと思うが、摩擦を生
むことも当然ある。企業を買収するときには、会社の都合だけで
なく、働き手の都合も少しは考慮してくれるといいな。
会計もその一助となれれば幸いだ。