【追い風】
ずっと仲が悪かった父と、最近とても仲がよい。
父も祖父もとてもよく似ており、
頑固で職人気質で、なかなか自分の意見を曲げようとしない。
自分の興味のあること以外にはなかなか手を出さない。
そんな父、もしくはそんな生き方が嫌で、僕は父を嫌っていた。
自分は絶対あんな人間にはならないと、ずっと思っていた。
しかし、そんな自分も、父とそっくりであるということにある日気がつく。
一つのことにとことん熱中するタイプで、おまけに頑固。
視野が狭く、関心ごと以外にはなかなか反応しない。
結局のところ、僕も本質は一緒だった。
僕はそれにプラスアルファで、もっといろいろなことを知りたい
広い視野、想像力と創造力を身につけてみたいという想いがある。
違いはそこだけなのだ。
そんな話と、僕が行きたい企業の話を父にした。
これまで僕の進路には反対していた父だったので、
今回も大ゲンカを覚悟していた。
しかし、会話は終始穏やかで
父はむしろ僕を応援してくれた。
目一杯やってみろ。
後悔はするなよ。
失敗したら帰ってくればいい。
嬉しかった。
きっと、父と仲が悪かったのは僕に原因があったのだろう。
父は、僕を受け入れたかったに違いない。
でも、僕は父を受け入れることをずっと拒んでいた。
父を否定することは、父に似た僕自身を否定することにもなる。
イライラ、ぎすぎすするのは当然だ。
自分を肯定し、すべてを受け入れることによって、周りが少しずつ見えてきた。
これまであいまいだった自分の立ち位置が明確になってきたことで、
不規則に吹いていた風が、追い風であったことに気がつく。
自分が変にそっぽを向いていたので、必然的にアゲインストになっていたのだろう。
父、ありがとう。
このタイミングで、仲良くなれるとは思ってもいなかった。
この出来事は、さらに何かを教えてくれるために起こったのかも。
最終面接まであと2日。
追い風を受け、また加速する。